Playing-Play!

 「Playing-Play!」は、東京学芸大こども未来研究所および東京学芸大学に所属する、音楽分野・美術分野・幼児教育分野・ 産学連携分野の計5名のメンバーから構成された研究プロジェクトです。
 「play」には、音を奏でることや映像・絵を作り出すこと、言葉遊び、役割遊び、他者との競争、動くこと等の意味が包括されています。それらは「あそび(Play)」という言葉に集約され、あそびに夢中になる姿を「Playing」として捉えました。全身で感じ、あそびに没頭するこどもたちは、1つのあそびからさらに新しいあそびを生み出していきます。このような「『Playing』することで『あそびの創造』を目指す」ということを基調概念とし、「Playing-Play!」というプロジェクト名をつけました。
 本プロジェクトは、未就学児を対象として、音や造形、動き、言葉などの「表現」を中心とした「あそび」を研究・開発していくことを主眼としています。音や線、色、身体、言葉などを用いてあそぶことは非常に豊かな経験の可能性を秘めており、それらは、「やってみたい気持ち」によって互いに結びつき、新しいあそびを生み出し続けます。このプロジェクトで大切にしていることは、「やってみたい」と思える魅力的なあそびを開発すると同時に、そこに、豊かな学びが融和していることです。
 こども時代、それはきっと「あそび」に支えられている時代であり、こどもたちはあそびの中でたくさんの経験をし、学び、心身ともに発達をしていきます。あそび研究の分野では、あそびの包含する範囲が広範に及ぶことや、あそびをする人の人格特性からあそびの定義をしようとする動きが出てきました。これは、あそびというものが非常に多様な体験をもたらすものであり、また、人格と密接に結びついているということを示唆しています。あそびの価値を認め、こどもたちが豊かなあそびのなかで育っていくことが、いま、求められています。
 本プロジェクトの取り組み事例として、株式会社鈴木楽器製作所との共同をご紹介します。鈴木楽器製作所は日本における鍵盤ハーモニカ普及の中心を担い、「メロディオン」の開発・販売の他、「ケンハモフェスティバル」の主催などを通して、鍵盤ハーモニカの魅力を発信しています。
 鈴木楽器製作所との共同においてテーマとなったのは、「『あそび』としての鍵盤ハーモニカの活動開発」でした。幼児教育現場ならびに小学校教育現場では、「演奏」ツールとして鍵盤ハーモニカが長年使用されている一方、演奏行為は、自由な操作性よりも、楽器の奏法や音高・リズム等、制限された操作性の中で活動することが求められるため、誰もが障壁なく鍵盤ハーモニカに親しむには、鍵盤ハーモニカを用いた 「あそび」としての活動の開発が求められました。この取り組みによって、4,5歳を対象とした鍵盤ハーモニカを用いたあそびが約20 開発され、それらは2018年秋以降に公開される予定です。
 「Playing-Play!」では、今後、様々なメーカーや企業との共同を通して新しい研究・開発を行っていきたいと思っております。上記事例のような、既存のモノの新しい活用法の検討のほか、ゼロからの企画開発につきましてもご相談いただければと思います。本プロジェクトメンバーの知見と共に新しい創造があり、それらを通して、こどもたちの健やかな育ちへと貢献できることを願っています。